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執筆者の写真耕治 大下

外で話すことば、家で話す言葉

我々は言葉を使って意思疎通します。日本ですから、当然日本語を使って会話を行い、考えていることを相手に伝えます。日常の中で使う言葉をいかに広げ、表現を豊かにできるか、が幼少期~思春期に大切な作業のように思います。言葉を覚え始めて、最初は家の中で家族との会話を一語文→二語文→多語文、と進歩させて、細かな表現ができるようになっていきます。言葉を自分で操る前から家族から話しかけてもらい、絵本などを読み聞かせてもらい、視覚の印象と音声としての言語をマッチさせて言語感覚は成長していくのでしょう。そして、未就学で外界での自分の立ち位置を与えられ、そこでも会話を通して表現し、理解し、というキャッチボールを行っていきます。

さて、そうやって獲得した言語としての日本語ですが、家庭内と外の社会で使う言葉は微妙に異なっていきます。家族という、ある程度の前提条件を共有している相手には、いろいろな要素を省略して話をしても特に齟齬はありません。一方、自分がなにものか、よくわかっていない相手に対しては誤解を避けるように細かく丁寧な表現を用いて会話していくことになります。ここで、使える語彙の豊富さ、表現としての丁寧さが問題になってきます。

今、塾に通っている生徒との会話の中では、他人としての私に対して主語や助詞(つまりて、に、を、は)を省略したり、使い方がふさわしくない場面が多々あります。おそらく家庭内では特に気にならない表現でも、お互いのことがよくわかっていない間柄でのやりとりにふさわしくない表現がよく耳につきます。自分が表現したいことを相手に理解してもらうためにどのような表現が適切で、どのような用語を使うのがふさわしいのか、少しずつ日本語のキャパを広げることができるよう、求めています。

誰が?誰に?何を?どこまで? 私が勉強中に生徒たちに尋ねることが多いのは、そのあたりの表現を適切に使えるようになってほしい、と思っているからです。ぜひご家庭でも、社会の中で会話している設定でお子さんとやり取りする時間を設けてみていただければと思います。

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